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キャラバン隊の前歴

2025-06-20

途中のログを発掘しました。
海までの道の前に書いたやつ。いつか続きをやりたい。

セットアップ

部族の名前:
🔮<16 塔> 破滅/悲劇/崩壊 // 緊迫/誤解/必要悪/不幸

本文

一目見たときは、彼らが未開の地の蛮族であるとは信じられなかった。やけに色白な肌は学者のようなそれで、灰色の目は瞬きの度に思慮深く光る。いざ口を開けば、賢人のような言の葉を紡ぐ。……

僕が指揮する街道開通工事は、一か月経ったあとも順調に進んでいた。時たま、はぐれの野生動物や魔物と遭遇することはあれど、半刻もあれば護衛が残らず追い払う。
国の外での初仕事として並でない緊張はあったけれど、僕の前に壁が立ちふさがることはたったの一度もなかった。幸いを通り越して豪運だよ、と街道監督の先輩が言う。
「初めに失敗しておいたほうが楽だろうになぁ」
冗句めかして掛けられた言葉に、僕は小さくなるしかなかった。現状への安心感はあれど、全くもって同意できる。

新しい街道工事の計画が持ち上がったのは、もう数年は前になるだろうか。
国外に向けて交易や探索の人員を頻繁に輩出しているこのタロセプトだが、交通の便はなかなかに進展しなかった。お国柄というべきか、「手がなければ足で何とかする」精神の悪い部分がひたすら発揮され続けてきた結果だ。郊外の危険性もそろそろ無視できないという風潮がようやく御偉方にまで伝わり、新しい街道整備がなされる運びとなった。

研究家は掃いて捨てるほど(もちろん比喩だ)在籍しているタロセプトだが、建築作業員は少ない。よって、近隣の土地から雇うことになった。ある程度腕が確かで、なおかつ問題を起こさず、素直に従事するような作業員を。
僕と先輩を除いて、内訳の大半は貴族階級だった。今回における街道監督という役割は実質的に僕の補助みたいなもので、

そこでぶつかったのが、彼らの住処だった。
彼らは密林の奥に少人数で暮らしていた一族で、探検家からはフォータワ族と呼ばれた。