シナリオ:旅といちにち
キャラクター!:#ジェイとイフェン
旅
🃏 → 🔶ダイヤの 6
人通りがある密林!
🎲1d6 → 4
森は広かった。バッティと不本意な別れ方をしてから、既に三日か四日は経っただろうか。気根の這う太い幹が立ち並ぶ光景は、いくら歩いても変化がないように見えた。
影が多く湿った気候の土地は、歩くだけでも体力を消耗したけれど、決して遭難しているわけではなかった――私たちは今、真新しく敷かれた街道を辿っている。
地面に敷かれた石畳は劣化なく明るい色を保っていて、茂みの中でも見逃すことがなかった。角もほとんど削れていないからここ一か月、いやもっと最近に作られた街道なのだろう。慣れない密林の行程で、私の疲弊は並ではなかった。その白む床を見つけたのは靴音の鳴る街が恋しくて仕方ない頃だったから、その喜びようたるや。
もう少し発見が遅かったら、疲弊しきってイフェンに抱えられてしまうところだった。今の歳で子犬か何かのように首根っこを噛まれて運搬されるのは、流石に恥ずかしい。
🃏 → 🧡ハートの 5
大きな・多くの、住人・旅人
石畳をたどり始めて二日目、まさに街道の最新とも言える場所に合流した。遠目からでも分かるキャラバン隊のような大所帯で、慣れた手つきの複数人が動いている。彼らは、行く傍らで木材を補充しながら長い長い道を敷いていく作業員だ。
遭遇当初こそイフェンの姿に警戒されたものの、女子供の一人旅は苦労が多いだろうと、むしろ労ってくれた。もうすぐ昼休憩の時間ということで、人員を交代しての休憩に移り、なんと茶まで分けてくれた。私の食事は昨晩作った木の実のお団子を齧るだけだったけど……正直、こんなに賑やかな食卓は久しぶりで、心から嬉しかった。
彼らはタロセプトという国から出発してきた作業団らしい。聞いたことのないその地名は、ここから遥かな遠地にあるようだ。探検家の気質を持つ国民性だと聞いて、パルのことを思い出した。
この街道は国を出発し、ひたすらまっすぐ、まっすぐ伸ばしているという。最終目的地を尋ねると、顔に土を付けたままの作業員が「海にぶち当たるまで」と豪快に笑うのだった。
私の旅の目的について軽く「巡礼の旅」だと答えるも、無神論者にはいまいちピンとこなかったようだ。神様はいるのかとか、祈ると神の言葉が聞こえるのかとか、興味本位で隅から隅まで聞き質された。神託を受け取るのは神官様の役割であると答えると、また目を丸くした(専門職! って)。
私にとって信仰がない人種というのは珍しいが、彼らにとってはむしろ逆で、宗教家というそれ一つで名乗りになるのは新鮮らしい。「神は御姿を現さないが、迷ったときに行くべき道を示してくれる」……そういう言葉を、いちいち頷きながら聞いてくれた。
イフェンはイフェンで、ずっと大人しく座っていた。振る舞いに気を付けるべきだと自覚があったようだ。
途中、動物好きな作業員にひたすら撫でられたり姿勢を褒められたりしていたけど、その度に鬱陶しそうに目をつぶっていた。案外、この人数の前では人見知りなのかもしれない。
彼らの作業が再開される頃、ありがたい申し出を受けた。安全のためにある程度の距離を空けられるのなら工事に並行してもいい、と。
次に向かうべき方角は、正直なところ迷っていた。届け物は済んだし、私の旅に最終目的地はない。おそらくは――彼らのように――どこかの果てを目指すことになるけれど、労働力になれない身でずっと甘えるのも違うと思う。
悩んだ末に、とりあえずこの森を抜けられるまでは後に続くことに決めた。食事の用意くらいなら手伝えるし、団体量の食糧確保を学んでおきたいという下心もある。何より、食事はみんなと食べたほうがきっとおいしいはずだ。その後のことは、その後に考えよう。
🔮<剣♠️ 1/Ace > 力の勝利/愛憎の大きな力
料理長(調理人は一人だけなので、便宜上の役職らしい)はマワと名乗った。イフェンを一目見たあとに「猫派だから」とそっぽを向くくらいにはつっけんどんだけど、思慮深くて丁寧な人に見えた。
海の出だからこれでも誰より工事の完了を楽しみにしている、と周囲にはやし立てられ、素早く鍋で追い払っていた。案外、愉快な人なのかもしれない。