セットアップ!
🃏 → ♠スペードの 11
道具の形:回るもの
🃏 → ♠スペードの 6
魔法の効果:変化
🎲1d6 → 6
魔法の程度:呪いまたは奇跡
リーディング
🃏 → 🧡ハートの 1
ポジティブ/どのように作られたか?
きっかけは町の小さな玩具屋だった。店主というほど立派でもない青年は、最近生まれた親戚の子どもに与える新しい玩具を設計していた。昔ながらの木製の玩具だ。
そういった、いわゆる伝統に則った玩具というものは――飽きられているというまではなくとも――既にありふれている。青年は、何かしらの工夫を必要とした。子どもだけでなく大人の気も引けるような工夫を。
🃏 → 🧡ハートの 13
ポジティブ/人間あるいは世界についての学び
親戚の子に譲渡されたのは、からくり人形だ。首と手足、胴体の真ん中に硬い関節が付いている、ささいな人形。技術としてはそう目新しいものではなかったが、一点物の人形を与えられた子は喜んだ。たいそう喜んだ。
子は、それはそれは人形を大切にした。衣服や装飾を与えることはもちろん、外出にもお供として連れ回した。子は観劇やバレエを好んだものだから、人形はそういうものを見て育った。
子は成長するにつれ、やがて屋内に引きこもるようになった。生まれつき身体が悪かったのだ。体の芯が弱くなる病で、その病状は特に足に顕著に出た。活動範囲が段々狭くなるにつれ、寝台で唯一の友たる人形と日々語らった。遊びのこと、家族のこと、これからのこと。
🃏 → 🔶ダイヤの 9
もはや子という大きさでなくなった子も、いずれ動かなくなった。そして寝台から運び出され、周辺はきれいさっぱり片付けられた。人形にその理由は分からなかった。人形は一人になった。
人形は孤独で退屈だ。在りし日を夢想するようになった。
子と見に行ったバレエのこと。子が演者に憧れていたこと。あの真白く短いチュチュ、伸びるしなやかな手足、軽やかに跳ね回る動き。子が人形に、似たような白いフリルやタイツを好んで着せたこと。微笑んで「あなたもいつか踊れるようになったらいいな」と言ったこと。「私には無理だから」。
長く一人きりでいる間、そうなったらいいな、と人形は考え続けた。衣服は既に揃っている。顔のお化粧は……ちょっと薄いけど、子が頭に付けてくれた花がある。後は、足を動かして身体を起こし、体の小さいバレエダンサーになるだけだ。
何年が経ったか、やがてその通りになった。人形にその理由は分からなかった。でも、きっとそういうものなのだろう。ダンサーが踊れるのならば何でもいいのだ。例え、生まれ育った屋敷がなくなったとしても。
ある日から、街中で小さなバレエダンサーが目撃されるようになった。大きさからして精霊か、あるいは単なる人形だ。大方、誰かが遊びで魔法を込めたのだろう。害もなし、噂は大して取り合われなかった。
だが、直接目撃した人間たちは違った。月光を浴びる純白、美しい肢体、バランスよく回り続ける振り付け。まるで本物の舞台を幻視するかのよう。
見つめているうち、ダンサーは去ってゆくという。行儀よく一礼をして、舞台からはけるように。
エンディング
🃏 → 🧡ハートの 11
あなたが嫌いになったものは?
人形は常に礼儀正しく、屹然とした態度で、そして純粋だった。
当然だ。演者が客席に向けて、余分になりえる行為をするはずがない。演者の行いは全て――演じることのためにある。
その手足が動かなくなったとて、演者の矜持が変わることはないだろう。最後の最後まで。