KRXCUBJK

籠に詰める

2025-03-05

ツール「採取籠の詰めごこち」の連打を眺めながらひたすら物書きをする第二弾です。

1

【黄色太陽の糞】
サイズ:拳大
感触 :液体
味わい:甘い
効能 :分離、純化、通電

丸々と太った黄金色の蜘蛛、から取れる排泄物。人間で言うところの尿と糞の混ぜ物だ。蜘蛛自体の胴体も手のひらに乗るほどの大きさがあるものだから、排泄物の一塊もなかなかの量がある。
彼らは張った巣の下に糞尿を落として溜める。小さな池のように一定量溜まった糞尿は、強く甘い香りを発し始める。その芳香で他の虫をおびき寄せ、巣にかかるものを捕獲して襲い……と、そういう生活をくり返す。

この糞尿は有害だ。獲物を食すときに使われる酸が含まれており、触れたものをじわじわと溶かしていく。そう強い酸性ではないから、指で触れた程度で傷を負うことはない。素材の分離であったり、軟化であったりの溶液として用いることが多い。

……ついでに、その強い香りから、匂い付けや香水としてもよく使われる。
比較的扱いやすい上に効果も単純だから、汎用的な素材としてや調合の練習材料としても適するのだが、昆虫の糞尿というだけで忌避する意見は多い。人間というのは気難しくて我が儘だ。

2

【マノ石の毛皮】
サイズ:拳大
感触 :かりかり
味わい:辛い、しょっぱい
効能 :刺激

マニアント地方の東側沿岸部、いわゆる火砕流台地で採れる石。地層としてたまに見かける程度のもので、手に取れるような塊はやや珍しい。
この石は苔や泥に混じるだけで表面が削れていくほどに脆く、柔らかいのだ。

堅牢性を欠くため石単体での活用法は少ないが、何かと混じってぐずぐずに溶けたほうは中間材料として優秀だ。特に、懸濁液の目が粗くとも構わないときには活躍する。粉よりは頑丈で、筋が残らず柔軟。縁の下の力持ちというやつだ。
……素材としては比較的安く入手できるので、そういう意味でも偉い。

3

【モム穴の形見】
サイズ:拳大
感触 :硬い
味わい:とてもしょっぱい
効能 :刺激

湿り気の少ない洞窟に時たま残されている、再結晶させた後のガラスのような物体。
一種のコウモリ(モモンガに近い形だ)が残す排泄物か凝固した血液の残り物と言われているが、生成過程を観測できた例はない。

砕いて採取した破片は、鋭利なだけでない危険もある。揮発性の高い刺激物なのだ。特に洞窟のような密閉空間では気化した〝形見〟が滞留しやすく、立ち入った人間に被害が出る例も多い。そんなだから、流通は少量かつ限定的で、なかなかに値が張る。
活用法の研究もあまり進んでいないものだから、とにかく数を集めての実験をしたいところだが……。安定して供給されるようになるまでには、まだまだ時間が掛かりそうだ。