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シナリオ「海原へ孤影をつなぎ」

2025-02-13

アーロ海の洋上を漂う船団アーレイア。開拓のため、探求のため、社交のため、あるいは胸躍る冒険のために乗り込んだ人々が、都市もかくやの共同体を作り上げている。
しかし一月前の大時化による損壊が、彼らの航海を大きく妨げた。臨時の乗組員募集に応えた冒険者たちは、舟を盗んだ異邦の青年を捕らえることに。かれは北の海域を睨み、一言「帰らねば」と嘆いた――。

舞台は大海原。
各々の目的を携えながら進行する船団にて、冒険者も彼らの役割を得ることになる。

ストーリーあり、探索あり、やり込みカスタムあり。面白かった~~~~。
文章表現の美しいことよ。こういう表現力になりたい。

この作者さんのシナリオはいつも分厚めのストーリー+探索+調合やら料理やらの作業シーンがある印象だけど、今作はそれら3つをこれでもかと詰め込んでいてよかった。
ストーリーラインは分かりやすく詰まることもないし、気が向けばサブイベントの寄り道もできる。カードワースどころか独立したゲームくらいのボリュームがある。やり込み必須ということもなく、自然とやり込みをしたくなる作りでよかった。

役割設定があるけど、物語の視点役のみで、シナリオ上の役割演出は薄め。
自分のような、パーティ内に役割分担ないんだよね~というパーティでも遊びやすい。

ネタバレがある

探索が楽しくて稼ぎをくり返した結果、終盤は素材がだだ余りしていました。性格が出る。

モジュールの組み合わせ面白すぎた。サブイベントのクリア必須ではないが、こなせばメインが楽になるという作り、いいですね。さんざん積み木してきたモジュールが最終戦で生きるのはもう~~~熱かった。

料理が一種一つのみなのも、毎度荷物袋をパンパンにしてしまうプレイヤーは助かった。無限に飯を集めてしまうところだった。大事に食べます。海底都市の欲しがりさんには刺身をあげました。


「ああ、ああ、どうしよう……
 あそこの魚は漬けたばかりだし、
 野菜の仕込みも途中だし」

「捨てていくなんてできないよ。
 海の上の食堂だって、
 僕の大切な居場所なんだ」

一番好き、というか印象に残っているセリフ。
自分に刺さったのは、このセリフのテーマとは別の部分だけど。

命あっての物種と思えば、飯も船も生活圏も些細なことなんだけど、そうやすやすと捨てることはできないんだよね、というあれ。
生きること前提の執着というか。このセリフ好きだな……。


似た境遇に置かれていても、人によって選択は違っていて、でも同じ船には乗れるよ、乗っているよ、という話なので、その表れでもあるのかなと思います。
船の話です。船に乗る人たちの話でした。

作者さんのあとがきページより。
よかったです。