ツール「うまいか?」の結果を眺めながらひたすら文字起こしする遊びをしました。
キャラクター:#サルエッタの魔法具店!
やるぞ
さて、今日の仕入れを始めるとしよう。
1
【めまい神の羽毛】
サイズ:小さい
感触 :石のよう
味 :旨い、酸っぱい
効能 :雷
朝一で届いた、羽根の束だ。これはとある山の坂道にたまに落ちている羽という。
その道を通る旅人は、揃って急な眠気を覚えたり、ひどいときには気を失ってしまったりするらしい。意識がはっきりしたとき、決まって目の前にこの羽が一片落ちている。
そういう目撃談が少なくないものだから、尊いお方が気まぐれにくださった恩恵であるとか、その羽を持っていると幸運になれるだとか、まあ様々な噂がある。
噂というのは案外馬鹿にできない。実害があれば呆気なく討伐対象になっていたんだろう、とは思わなくもない……。実際のところは例の上り坂だけ空気が薄いとか何とか、他の理由があるんだろうが、それを解明するのは私の仕事ではない。
仕入れは案外簡単だった。安値が付く理由も納得がいく。この羽、単なるお守りとするには少々危険なのだ。
見かけこそ小振りな一本の羽だが、触れた感触はしっかりと硬い。石を削りだした彫刻なのではないか、と思うほどだ。まずシンプルに、扱いづらい。さらにこの物質は有毒らしく、長いこと触っていると指先にだんだん痺れが出てくる。単に、有害である。
そんなだから、拾っても手元に置きたがらない人間が多いということらしい。
こうも安くで数を手に入れられたのだから、分析のし甲斐もある。砕いてみようか、酒で浸そうか、それとも皮で包んで様子を見ようか?
入手が限られているし、実際的には珍品なのだろうが……まあ、いずれまた誰かの前に舞い落ちてくるだろう。貴重かどうかは、私の知ったことではない。
2
【クチケ星のつた】
サイズ:小さい
感触 :硬い
味 :甘い
効能 :雷
さて、二つ目は長い蔓だ。これ自体は何の変哲もない、ちょっと長いだけの蔓だ。
名の由来は、星見の学者がこの種を発見したことによる。
とある先生が木の根元に寝転がって星を観察していたところ、木漏れ日の出所からこれが垂れてきていたのを発見した。まるで星々から長く伸びてきたかのように見えたことから、「クチケ星の蔦」と名付けた。
クチケというのは……一部地域の方言だったように記憶している。未開の地の珍しい言語だから、今ではこの「クチケ星」という単語しか残っていないそうだ。
……全く、未知の言語というものは扱いづらくて困る。綴りも難解だし。それに、この部位は厳密にはツタではなくツルなのだが、まあそれは些細なことか。
蔓にしては丈夫で長さも出やすいし、その上、絶縁体の性質を持つために見た目よりも活用しやすい。ちょっと多めに仕入れられたし、安くしておこう。
3
【ジャエの怒り】
サイズ:小さい
感触 :さくさく
味 :旨い
効能 :浮遊
さて、これは本日の目玉だ。私も現物は初めて見る、正真正銘の貴重品と言っていい。
「神が吐血と共に吐いた内臓」だと僻地の神話に謳われる、いわば聖遺物の一部だ。
見た目は焼きすぎたクッキーのような、丸くて平たくて硬そうな品。何も知らなければ、そのまま齧りついてしまうかもしれない。……仕入れた品は、ちょっと欠けている。実際、これを取引した仲介者が一口分の味見をしたらしい。こんがり焼いた肉のようでうまかったとのことだ。
全く、貴重な品にもったいないことをしてくれる。お陰で割引をもらえたけども。
東方の人魚伝説を始め、肉を食えばその持ち主の力にあやかることができる、という話はよくある。この品も同様に違いない。
旧神ジャエは鳥の翼を持つ姿でえがかれることの多い風の信徒だから、それらの効能をもたらすと見える。これだけ少量だと対照実験するにも難しいが、どうせならすり潰すまで試して使いきってやろう。
……私も一口くらいはいいかな。